Chakra UI は "use client" なしで使えるようになった「だけ」
Chakra UI が自分で "use client"
を付けている
最近 Chakra UI が "use client"
を付けずとも Next.js の App Router で使えるようになったと話題になりました。しかし調べてみると、どうやら JS 非依存なコードに書き換えられた訳ではなく、Chakra UI 自身がビルド時に "use client"
を付けるようになっただけらしいです。
なので「自分たちで付ける必要があった "use client"
をあらかじめ付けておいてくれるようになった」という認識が正しいと言えそうです。
ここで注意したいのは、変わらず "use client"
は付いているので、Server Components になったわけではないということです。引き続き Chakra UI の分の JS コードはバンドルされてブラウザに転送されます。
Chakra UI が JS なしになるのは難しそう
とはいえ、Chakra UI を JS なしの Server Components にするのも難しそうだなと予想します。その理由。
色やサイズのトークンを ChakraProvider
経由で変更するテーマ機能があります。Context.Provider
でテーマを差し替えるので、各コンポーネントは useContext
でテーマ情報を読み込む必要があります。そうすると、必然的に Client Component にならざるを得ません(use
が使えるようになったらこれも解決するのかな)。
また、Chakra UI はアクセシビリティ対応をビルトインでしてくれます。例えば FormControl
で括った範囲の Input に id をセットして、同じ値を FormLabel
の htmlFor
に渡すことを勝手にやってくれます。それを実現するのも React Context が必要で、Client Component にしないといけません。
他にもオンオフするやつとか開閉するやつとか、ちょっとした見た目の状態制御に useState
などを使っていることでしょう。置くだけでいい感じのデザインや操作性を提供してくれる UI ライブラリは、内部で泥臭い JS 処理を行ってくれているんですね。
変更自体はありがたい
しかし、ライブラリ側で "use client"
を付けてくれるのはとても嬉しいことだと思います。
まず単純に楽です。 VSCode がサジェストするまま、import {Button} from “@chakra-ui/react”
と書けばよくなります。 "use client"
を付けたいがための re-export は不要になりますね。
人によっては、「Chakra UI を使っているから、自分のアプリのコードに "use client"
を付けている」という人もいるかもしれません。次のようなコードです。
"use client";
import { Button } from "@chakra-ui/react";
const MyPage = () => {
return <Button>Click me!</Button>;
};
"use client"
を付けたファイルからの re-export ではなく @chakra-ui/react
から直接 import しているので、ページコンポーネントのソースファイル自体に "use client"
を付けています。これは、ページコンポーネント分の JS ファイルがバンドルされることを意味します。
今までこれで凌いでいた場合は余分に JS ファイルを転送していたかもしれません。でもこれからは自分のコードに "use client"
をつける必要がなくなるので、純粋に Chakra UI の分だけに絞られてバンドルされるでしょう。
まとめ
Chakra UI は確かに "use client"
なしで使えるようになりましたが、ライブラリ内部で付けてくれるようになっただけで、引き続き JS ファイルになってブラウザに届きます。
でも、Chakra UI の開発者は Emotion 非依存な PandaCSS を作っているようなので、もしかしたら Chakra UI のバンドルサイズは今後どんどん減っていくかもしれませんね。知らんけど。
それでは良い React ライフを!